リカバリーポルノ 13(R18)
望みを叶えるには代償が大きすぎた。
「舐めるぞ」
舌を口から大きくだして羽純の下腹にあてる。そのまま、へそ、胸の真ん中をとおり、喉仏、あご、口、そして鼻頭まで一気に舐めあげた。
「――ああ」
羽純が歓喜の声をあげる。こいつは舐められるのが好きらしい。だったらいくらでもしゃぶってやろう。
「こっちもか?」
手を下生えに滑りこませて、陰毛をかきまぜた。羽純の分身は草むらに立つ生物のように屹立している。
「なめ……なめ、て」
足をひらいて誘うように腰を揺らす。我慢できない様子に妙な可愛げを感じた。
「わかったよ」
頭を相手の下半身に沈めて、性器の先端に口づける。
小さな穴には丸い雫があった。舐めると少ししょっぱい。涙と同じ感触だ。舌先で穴をさすると、羽純は声をあげて身悶えた。もっと感じさせてやりたくて口一杯に竿の部分を頬張る。熱くて乾いた皮膚の味しかしない。男のモノだというのにこいつの性器は男くささがない。だから抵抗を覚えなかった。
「ああ、ああっ、い、いいっ――すごく、い、いい」
羽純が腰を突きだすようにして乱れ喘ぐ。舌の奥と上あごで先端をつぶしてやると「ひい」とうめいて内腿をガクガクさせた。そのまま抽挿しながら全体を吸いあげてやる。
「もう、もう、俺のモノ、ちぎれる」
「これぐらいでちぎれるか」
竿の胴回りをべろべろ舐める。嚢も、下生えも一本ずつたどるように舌先で濡らしていく。こっちももうヤケクソだった。
蟻の門渡りの先に、とじた場所がある。きっちりと絞られた形じゃなくて、わずかに蕾のようにふくらんでいた。そこに中指を押しあてると、つぷりと抵抗なく沈む。
「はう――」
ビクンと魚のように羽純が跳ねた。気持ちいいんだな、と判断してさらに中まで入れてかきまぜた。
「い、今、仲」
「ああ、なんだ」
「い、いれ、いれて、ほし」
「ここに?」
「あ、ああ」
自分の下肢に目を移す。驚いたことに勃起していた。しかも完勃ちだ。自分の性器を初めて見たかのように凝視する。男に勃つなんて生まれて初めてだった。
勃ってるうちに入れちまおうと思ったが、しかし挿入口は濡れていない。
「挿れていいのか」
「いれて、いれて」
羽純がうわごとのように言う。建翔は起きあがり、相手の両足の間に身を入れた。穴に自身を押しあてるも、何か滑りのいいものを塗らないと挿れることはできそうになかった。普通はローションを使うのだろうが、そんなものは常備していない。指を唾液で濡らして入口を弄ったがそれでは足りそうになかった。
羽純の体内は熱くて、ねっとりとしている。これなら何度でもできそうだと判断した建翔は自分の精液で濡らすことにした。
「おい、ちょっと待ってろ。一回、俺が達くから」
足ひらいてろ、というと羽純は喘ぎながらも目を瞬かせた。
「……え」
「俺のをだして濡らす」
性器を右手で掴んで扱きだす。すると羽純は興味深そうに上半身を起こしてきた。それに苦笑する。
「人前でオナるなんて人生初だぞ」
大きく目を見ひらいた羽純の喉仏が上下した。真顔で凝視する姿に、こいつは本当に俺とすることだけでこの世とつながっているんだなと実感する。
「んっ、……くっ」
「お、俺も、こすっていい?」
「いいよ。やれよ」
自分のモノを扱くのかと思ったら、建翔の性器に手を伸ばしてくる。かるいスナップで扱いていた手の先に、華奢な指を添わせてきた。
「……お前の、熱い」
「そうか? もうだすぞ」
「うん」
羽純が先端を刺激する。それに導かれてオルガズムがやってくる。つぼんだ場所に己の切っ先を押しこむと、あっという間に快感にのまれた。
「……っ、ん、んっ、イくな」
腰をグイグイッと進めて、中に注ぐようにしながら際を越える。羽純は恍惚としていた。
自身が放ったモノで相手の身体が濡れると、建翔はそのまま中まで押し進んだ。
「あ、ああっ、あ、は、っ――」
羽純の身体が弓なりになる。挿入しただけで快楽に堕ちるのは慣れているせいか、それとも相手が自分だからなのか。
「ああ、ああ、今仲っ」
電気でも通されたみたいに、手足をおののかせた。
「あ、あ、きてる、ああ、中まで、お前が、きてるう……っ」
甲高い嬌声に、感極まっておかしくなってしまったのかと心配になる。思わず口を手でふさぎたくなった。
「ああ、こんな、こんなことあり得ないっ」
両手で自分の顔をおおって、それから髪をぐしゃぐしゃにつかむ。
「いい、いいっ、ああ、いいよお」
泣き声のまじった喘ぎだった。嬉しいのか苦しいのか判断がつかない喚声だ。
「今仲、ああ、今仲、今仲あぁ、いいよ、いいよぅ」
だし入れして身体を揺さぶってやると、羽純はこのまま死んじまうんじゃないかというくらい激しく泣き叫んだ。両隣の部屋が気になったが、こっちも快楽に翻弄されている。もうどうでもよくなって構わず突きあげた。
羽純の奥は、経験したことのない熱さに満ちていた。粘膜がうねり、絡みつき、引っ張るように締めあげてくる。強い愉悦に、性器の根元から先が溶けて相手と一体化してしまうような感覚に陥った。
「お前、すげぇ……っ」
感嘆の声がもれる。腰がとまらない。抽挿しながら乳首もつまんでやる。キリキリとひねりあげれば、羽純は嬉しそうに声をあげ、そしてむせび泣いた。
「ああ、いやだ、だめだ、もう達っちゃうから、も、も、やめてくれ」
「何でだよ、達けばいいだろ」
「だめだ、達きたくない。達ったら終わってしまう」
欲しがりながらも逃げをうつ。
「終わりたくない。ずっと、こうしていたい、いやだぁ」
「何度でもしてやる。一度だけじゃないから」
だから、達けばいい、というように激しく腰を使った。
「もっと、もっとして」
「ああ、してやる。何でもしてやるって約束しただろ」
「もっと、もっと、お前が欲しいんだよぉ」
「欲しがれ。全部やる」
「今仲、今仲」
ずっと建翔の名を呼び続ける。そうして最後に、痙攣するように身を震わせて、やっと羽純も絶頂に至った。
「お前だけ、お前だけが、欲しかったんだ……っ」
うわ言のように繰り返す。
それを聞きながら、建翔は意識を失っていく羽純の唇に何度も口づけた。
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