ゆるキャラ系 童貞男子の喰われ方 26(R18)


「陽向」
 唇をあわせながら、上城は陽向の下着を剥いてパンツとともにずりさげた。下肢が冷たい空気にさらされていくのが恥ずかしくて身を捩る。はいていたものを下ろしながら、上城はまた胸にキスしてきた。小さくて赤い乳首はすぐに反応してつんと尖った。
「……ぁ、ゃ」
 甘い刺激に、拒否もか弱くなってしまう。嫌と言いながら本気ではない。それがわかっていて相手も容赦なく吸いついてくる。唇と舌にやわらかく引っ張られる感触は、怖気が立つほど気持ちよかった。
「あぁ、あ、ふ……」
 上城の手つきは荒々しく野生的で、なのに手なれた優しさがある。なにも知らない陽向を包み込む力強さがあった。感じすぎて泣きそうになりながら、陽向は上城の頭を抱え込んだ。
 はいていたものが全て足から引き抜かれて、くるぶしまでの短いソックスも一緒に持っていかれる。それで下半身を纏うものはなにもなくなった。
「……ぅ」
 上城は陽向の腹のあたりに唇をよせてきた。下腹を辿るように口先で愛撫する。
「……も、……くすぐった、い」
「やわらかい肌だな」
 感慨深いため息をもらす。
「鍛えてない、から……」
「白くて、薄くて、なんにも知らない子供みたいな」
 皮膚を甘噛みされて、くすぐったい中に快感が走った。
「けど、こっちはちゃんと硬い」 
 上城の舌が、陽向の勃ちあがったものにあてがわれる。
「……えっ」
 驚く暇もなく、先端が舌先に包まれて、そのまま口内へと飲みこまれていった。
「……あ、……あ、ああっ」
 ゆっくりと扱かれて、経験したこのとのない痺れるような快感に突きあげられる。陽向は背を海老ぞりにして全身を慄かせた。
「ちょ、あ……ああ、ま、待って……」
 上城は口からそそり立ったものを抜くと、今度は根元を手で支えて、下から上までねっとりと舐めあげた。裏筋の感じる部分に舌の先端を這わせて、何度もゆるく行き来させる。考えたこともないような強い快楽に、あっという間にすぐに果てそうになり、先走りがだらだらとあふれてきた。
「やめっ、や、やめて……そ、そんなこと」
 暖かくてやわらかくて、濡れた感覚に包まれて信じられないほど気持ちがいい。他人に見せたことのない乱れた姿をさらしたくなくて、両腕で顔を覆った。内腿が痙攣したように震える。上城は陽向の両足の間に身体を入れ込んでとじられなくしてきた。
「こ、こんな、こと、あ、あ……」
 性器を舐められただけでも、おかしくなりそうに頭が沸騰しているというのに、上城はさらに指を後ろに沿わせて、緊張して縮こまるやわらかい嚢を揉むようにしてきた。手で包み込んで、指先でなぞるようにしてくる。弱い場所を苛められ、弄ばれて陽向は泣きそうになった。
「ここ」
 雫をこぼし続けるペニスから、舌を陰嚢に移して、双つの珠の間を舐めていく。
「なんともなくてよかったな」
 なんのことかと考えを巡らせて、蹴りあげられたことだったと思い当たった。あのときにはもう、この人にここを触られていたのだった。
「……え、ええ。……は、ふ」
 最初に触れられたときの上城のぎこちない指先とアイスパックを思いだし、陽向はさらに昂奮し、ぐずぐずに蕩けていった。なにがなんだかわからない嵐のような快感に翻弄されているうちに、いつの間にか上城が嚢をゆるゆると上下に擦り、その奥へと手を忍ばせてくる。
「あ」
 ぴくりと背中が跳ねた。奥を辿る指が、深いところを探りあてる。
「あ、や」
 未知の感触が襲いかかった。いや、と言っている間にけれど指は体内に潜り込んできた。
「陽向」
「あ、そ、そんな」
 身を捩って、それ以上の侵入を避けようとしてしまう。本能的な恐れからだった。上城は陽向の拒否もわかっているようで、右手で性器を掴むと、反り返った部分を横から食むように唇と舌で刺激し始めた。快感に慄くペニスを舌先で舐めあげる。咥えて扱きながら吸い上げてくる。衝撃的な気持ちよさだった。すぐに限界がきてしまう。
「ああ――ダメだ、も、もう、俺、もぅ……」
 襲ってくる快楽の奔流にあっという間に飲みこまれた。上城が左手を抜き、手のひらで性器の先端を包み込む。
「あ、あ、ああっ……」
 その瞬間、陽向は泣きながら、制御できなくなった熱を相手の手の中に放出した。
 初めての体験に全身が強張り、頭が真っ白になる。頂を越える長い数秒のあと、脱力してシーツに沈み込んだ。
「……こんな」
 感じすぎて、眦から涙が一筋こぼれ出る。足の間にいる相手は、ゆっくりと後ろのやわな部分を陽向の精液で濡れた指で辿り始めた。
「……ぁ」
 指先が、弱いところを刺激してくる。指が旋回され、粘膜がひらかれる音がした。
 腰下にいた相手が上体を起こし、足を広げた正座に座りなおす。陽向の腰を持ちあげてその下に両膝を入れ込んできた。陽向は仰向けで腰を相手に突きだすような体勢になり、下肢が相手に全てさらされる状態になってしまった。
「か、上城さ……、それ、は、恥ずかしい……」
 まだきつく勃ちあがっている性器の奥で、ゆるく蠢く粘膜と、そこにさしこまれた指は、相手の目にどう映っているのか。考えただけで気を失いそうになる。
「エロ可愛いくて、めちゃくちゃ昂奮する」
 上城が舌を見せて、自分の下唇を舐めた。
「陽向、……な」
 指が増やされる感触がくる。
「……ぇ」
 名前を呼ばれて、飛び始めた意識のまま答えた。
「挿れたい」
「……」
「おまえの中に、俺のモノ、挿れたい」
 上城はそう告げると、欲求の激しさをこらえるように、グッと歯を喰いしばった。陽向はぼんやりとした目で相手を見あげた。自分は服をほとんど脱がされてしまった状態だけれど、上城はまだ自分の服をひとつも乱していない。ネクタイもきちんと結ばれたままだ。
 きっと、陽向がここで拒否したら、上城はこのまえしたときと同じように、陽向だけいい気持ちにさせて自分は抑えてすますつもりなんだろう。相手のスラックスに目をやれば、足のつけ根は服地が重たげに歪んでいる。張りつめたそれを陽向はまだ一度も見たことがなかった。
 自分は三度もされてしまったのに、上城は理性で欲望を抑え込んで、陽向に無理なことを強いようとしてこない。
 その姿を見ていたら、どうにも苦しくなってしまった。胸が圧迫されるように愛おしさが湧いてくる。この人は、強いだけじゃなくて、本当はすごく心の優しい人なんだ。相手のことを考えて、攻撃するのは最後の最後まで我慢しておく。他人を傷つけるのはきっと、本意ではないのだ。
 陽向は自分から両手をのばして、上城を呼びよせるように手を広げた。
 目元を少し朱に染めた上城が、それを見て、困惑したように笑う。陽向の顔の横に右手をついて、顔を近づけるとゆっくりと唇を塞いできた。
「どうして欲しい?」
 吐息まじりの、掠れた低音で問いかけられる。
「なあ、どうして欲しい」
 左手の指をグッと身体の中で動かす。上側を押すようにされて、ピリと尖った刺激がきた。
「……あ」
「陽向、おまえの好きなようにしてやる」
 唇はあわさったままで会話する。途切れ途切れの息は、お互い灼けるように熱かった。
 好きなように、と言われて、けれど陽向もどうしていいのかわからなかった。知識はほんの少ししかない。だったら相手に任せるしかないのだけれど、そうしたら自分は『オンナ』になるのだろうかと、ぼんやりと考えてしまった。けれども上城の、欲望を抑制しようとする官能的な顔を見ていたら、それでもいいかと思えてくる。
 この人を、解放させてあげたい。自分の身体で、つながってひとつになって愛情を感じてもらいたい。
「……どうにでも、上城さんの、好きなように」
 して、と最後はため息で音にならなかった。上城の首に手を回して抱きよせ、自分から唇に触れれば、相手は目を細めて笑みを深くした。
「わかった」
 上城が指を抜いて上半身を起こした。右手で陽向の左足首を掴むと、持ちあげてひらくようにする。身体に力の入らなくなっていた陽向はされるがままにした。
「今日は準備がないんだ」
 俯きながら告げてくる。
「けど、なるべく手加減するから」
「……ぅん」
 よくわからないけど、きっと任せておけば大丈夫だろう。信用できる人だし、ここまできたらもう、上城にみんなくれてやる。そんな気分だった。



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