白金狼と、拾われた小犬の花嫁 04(R18)
「黙れ!」
瞬間、よく通る男らしい声が白金王の口から放たれた。
大狼の威厳ある声音に、皆がヒタと押し黙る。
「……全員、ここを出ていけ」
「え……」
王が皆を見渡して命令する。
「これとふたりきりにしろ」
「まさか、……まさか、ここで……」
「あり得ません、陛下、正気に戻って下さい」
白金狼は臣下の言葉に、唸りながらぶわりと毛を逆立たせた。するとフェロモンの香りが強烈に漂った。オメガだけでなく、その場にいた全員が匂いに圧倒されぐらりと身を傾がせる。
「出ていかねば、噛み殺すぞ」
凄みのある声を聞かせれば、狼たちは怯えて、もう逆らおうとはしなくなった。王が扉に向かって首を振ると、一匹、また一匹と、渋々部屋を出ていく。そして最後の一匹がくわえてきたランタンを床において去ると、倉庫はロンロと王のふたりきりとなった。
「お前が私の運命か。……何と、蠱惑的で愛らしい塊」
ロンロは先ほどから、強い芳香にあてられて気絶しそうなほど気分が悪くなっていた。抱いて欲しいという欲求が限界を超えている。けれど、性体験のないロンロにはそれは薄気味悪い感覚でしかなかった。自分が自分でなくなってしまう。その恐怖の方が強かった。
王は性急に近づいてくると、うずくまるロンロの服に噛みついた。あっという間に布地を引き裂き、ロンロを丸裸にしてしまう。
「ああっ」
「発情しているな」
ロンロの身体に鼻をよせて匂いをかぐ。
「この香り……やはり他のオメガとは全く違う。胸をつらぬくような、切ない香りは……」
肌をべろりと舐めて、甘噛みする。ロンロはそれだけで、死にそうに感じてしまった。
「ああンっ、や、あっ」
「本能の、その奥深くに訴えかける、何ともやりきれん香りだ……ああ、クソッ、交わらねば、私も死んでしまう」
前足でロンロを仰向けにする。すると未熟な性器があらわになった。ふるんと震えた肉茎に王が舌なめずりする。
「この匂い。これだ、これこそが、私の発情をとめるただひとつの宝」
そしてパクリと大きな口で幼い茎をくわえこんでしまった。
「ああっ、あ、ひい、いいっ――」
いきなり食べられて、ロンロは恐怖に身体を跳ねさせた。ジタバタともがくが、王は両前足で、ロンロの足のつけ根を押さえつけてくる。
「ああ、何という、やわらかな食感」
「許して、許してっ、食べないで、おいしくないからっ」
「これほどうまいものは食べたことがない」
王のざらついた舌が、ロンロの若茎にからみつく。根元から先端までじゅるりと舐められて、ロンロは腰を跳ねさせた。
「ああッ、や、やめて、お願い、そんな、や、やぁ、ああっ」
裏筋の敏感な部分を舌先でつつかれれば、未知の快楽が嵐のように襲いかかる。
気持ちいい。こんな快感は、生まれて初めてだ。
「やぁ、ああ……っ、ぅう、あ……も、もぅ……もっ」
混乱したままで、際を越えさせられる。
「ダメ、で、出ちゃ、う、ん……ッ、や、やだ、こ、こんなの……っ」
拒否してもおさまらない。理性と快感が相反する中で、ロンロは身を引き裂かれるような強い悦楽のまま吐精した。
「ああ、ああ、いぃ、……いく、イっ、や、やだ、も……っ」
涙がまなじりからこぼれ出る。それを両腕でおおいながら、ロンロは性器をビクビクと震わせた。あふれた精液が、王の舌からたらりと滴る。
「……ゃ」
王は口角を持ちあげて、舌を内側に巻き、ロンロの目の前でそれを嚥下した。
「う、うそ……っ」
狼王が、雑種犬の精液を、飲んでしまうなんて。
驚愕するロンロに構わず、王は嬉しそうに言った。
「他の雄の匂いがしない」
「……」
「男娼だと思ったが、違うのか、お前は」
前足でロンロの身体をくるりとうつ伏せにする。背後からのしかかりつつ、獣王は低い声でたずねた。
「名は何という」
「え……ぁ、ロンロ……」
「ロンロ。愛らしい名前だ。足をひらけ」
そしてロンロの両足の間に自分の腰を入れてきた。
振り返り、王の股間を確認する。そこには、あり得ないほどの太く逞しい肉の棒があった。アルファの性器は普通とは違うと聞いていたが、それは根元におおきな瘤をつけた異様な代物だった。
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